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 恥ずかしい話なのだが、私は今まで赤痢に5回罹っている。

 インドネシアのジャカルタで働いていた時に4回とビルマに旅行した時に1回。ビルマの時は帰国して松山の伝染病院に隔離された。このときは、家に消毒車は来るは、TVや新聞で報道されるはで、親にも迷惑を掛けてしまった。TVや新聞には名前は出ないが、友人達は大体私だと分かったらしく、ガラス越しの面会を撮るために伝染病院にまで嬉しそうにカメラを持って見舞いにきた。
 赤痢!と聞くと、びっくりするけれど、東南アジアではひどい風邪のようなもので、騒ぎにもならない。高い熱が出て、おなかを下す。病院で抗生剤をもらって、うちでおとなしく寝て治す。。
 伝染病院の先生も言っていた。「日本は法律で決まっているからあなたを隔離するけれども、抗生剤で確実に直るし、伝染性も少ない。まあ、仕方ないと思って我慢していなさい」と。
 伝染病院では、患者は私一人だけだった。帰国した時は、すでに症状もほとんど治まっていたので、10日間ほど、淋しく退屈な思いをして解放された。
 その後、松山伝染病院は閉鎖され、今は、「リサイクル館」という施設に生まれ変わっている。日本では伝染病も随分と減って施設を維持する必要もなくなったのだろう。
 ところで、赤痢の予防薬は今のところないと言われている。予防するには、食べ物や水に気を付けることだが、旅行中はなかなか難しい。。。ただ、私は調べに調べ、そして発見した。おばあちゃんの知恵「梅肉エキス」は効きますよ。昔から民間療法で、疫病の予防薬として用いられてきたのだそうで、これは予防にもいいし、「あれ、またかな。。。」という時にもこれで、しのげた。おなかの弱い人の旅のお供に強力にお勧めだ。

 夫はといえば、これは驚異的におなかが強い。生牡蠣を食べて皆があたって寝込んだ時にもたった一人けろりとしていたし、インドでも下痢するどころか、むしろ便秘気味だった。
 ひょっとして、おなかと臭覚は関係あるのかな・・と思う。悪いものを口にしない様に臭覚が発達するのかもしれない。私はおなかが弱いせいかとても臭覚が良い。夫は匂いに全然無頓着だ。。。
 ところで、この夫だが、アフリカでマラリアに罹った。同じところを歩いて同じところに寝ていたから、おそらく同じ蚊に刺されていると思う。それで一人が罹り、一人はケロリとしているというのはやはりこれも抵抗力が関係しているのだろう。
 このとき夫が罹ったマラリアは「熱帯性マラリア」といい、マラリアの中でも性質の悪いものだった。マラリアには大きく分けて三日熱・四日熱そして熱帯性マラリアというのがあり、一般的に知られる症状は高熱と大量発汗を周期的に繰り返すというものだ。ところが、熱帯性マラリアに関しては症状は不定で診断が難しく、適切な治療がされなければ死にいたる。
 夫の場合は、クシャミが出て咳が出て少し熱が出たので、風邪だと思って寝ていると、宿の白人オーナーがすぐに医者に行けという。「マラリアかどうか調べてもらえ」と言うのだ。私達は、
「そんなマラリアなんてね〜」
「ね〜」
と言いながら、夜道を小さな診療所へ向かった。
 すでに辺りは真っ暗だし、掘っ立て小屋のようで、はじめ診療所だと分からなかった。体の大きな黒人の看護婦が「医者を呼び出すから待て」という。しばらく待つと、黒人の医者がきて、夫の指にちょっと針を刺して、プレパラートに血を塗り塗りして、顕微鏡で見た。
 振り返って、「はい、マラリアですね。この薬を正しく飲んでください。」
「まさかマラリアだったとは・・・。」と青ざめたが、
簡単な診察といい、慣れた指示といい、マラリアはアフリカでは良くある病気で、簡単に言ってしまえばインフルエンザのようなものなのだろう。
ただ、的確に治さないと死にいたるというのが恐いところではある。。
 その後で聞いた話だが、同じ時期、中部・南部アフリカを旅した女の子がトルコで亡くなったという。マラリアだったのだそうだ。だが、症状がただの頭痛のようだったので、トルコの医者では、マラリアとは診断できなかったらしい。本当に、気の毒に思う。

 そういえば、以前、ある日本在住のスペイン人から聞いた話だが、彼女は、おなかの具合がひどく悪くて、ある大学病院に入院したのだそうだ。病院側は原因がわからず3度も開腹手術をした。それでも、なんだか分からない。彼女の入院は2ヶ月に及んだ。。そんなある日、彼女に言わせると「すごーいおじいさん」の医者が来て、彼女を一目見て症状を聞くなり、「これは赤痢だね」と言ったという。調べてみるとアメーバ赤痢というやつでなんだか内臓にへばりついて悪さをしていたらしい。薬で治った。
 その「おじいさん」の医者は、元従軍医師で疫病に精通していたのだ。
 彼女は、入院する前年インドに旅行していた。ただ、そんな前のことは関係ないと思ったし聞かれなかったので話さなかった。
治ってよかったねー。その後彼女は大学病院に長らくいたおかげで、入院中受けた翻訳の仕事が縁となってそのままその大学病院に就職した。

 長くなってしまったが、ここで、言いたい事は、病気は、その土地で治しましょう。侮ってはいけません。ということと、昔の人の知恵を忘れないようにしよう。ということだ。
 マラリアに関しては、予防薬はある。ただ、副作用が問題だ。マラリア汚染地区滞在前と滞在中そして滞在後ずっと飲み続けるとひどい場合は、失明の危機がある。今はもっと良い薬がでているのかもしれないが、
当時は「予防薬を飲んで失明する確率と予防薬を飲まずにマラリアに罹る確率では、飲んで失明する確率の方が高いのではないか」と言われていた。
 目だけでなく、脳にも影響する。欧米の旅行者達は、疫病に対して相当敏感で、マラリアの予防薬も熱心に飲んでいたが、夜中に悪夢でうなされたり、突然叫んで飛び起きたりしていた。
一番大切なのは、とにかく蚊に刺されないようにすることだ。
露出度の少ない服を着る。蚊取り線香の使用。これだけで、随分違う。

 赤痢には梅肉エキス、マラリアには蚊取り線香なのだ!!そして、病気に負けない元気な身体を作る!これに限る。
 老いも若きも、体力つけて、病気に負けず、楽しい良い旅をしてくださいね。【雅】

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